魔法使いたちの憂鬱 30話舞台裏


篠宮「……はあ」
佐奈「篠宮先輩。ため息が重いです」
篠宮「泉さんですか…………はあ」
佐奈「あの。やっぱり、会長さんの事でしょうか」
篠宮「ええ。お恥ずかしい限りです。紅坂の跡取りが……東ユグドラシルの会長が……あのセリアが……なんでこそこそと尾行なんか。本当に、もう」
佐奈「篠宮先輩は、止めたんですよね?」
篠宮「勿論。でも、ああいう状態になったときのセリアを止められる人はいませんから」
佐奈「篠宮先輩でも駄目だったら、他には……ご両親とかはどうなんでしょう?」
篠宮「ご当主……セリアのお母様でも無理でしょうね。お父様はただでさえ、セリアには甘いですし。カウル様の忠告は時々、効果があるんですけど、今のセリアには逆効果になりかねません。というか、カウル様の命の危機に繋がりかねないので駄目ですね」
佐奈「い、命の危機……っ?!」
篠宮「あ、でも」
佐奈「でも?」
篠宮「神崎さんなら」
佐奈「……良先輩ですか?」
篠宮「ええ。多分」
佐奈「むう……それは複雑です。色んな意味で」
篠宮「ええ。複雑です。色んな意味で」


篠宮「ああ、もう、こんなことセリアのお母様やお父様の耳にでも入ったら……」
佐奈「入ったら? 会長さんが怒られたり、まさか、良先輩が危険な目に?」
篠宮「危険、ですか?」
佐奈「映画とかだと、大富豪のお嬢様に手を出す男の人は、そのご両親に排除されたしまうケースが多々あります」
篠宮「いえ。そういう危険はないと思います」
佐奈「そうですか。良かったです」
篠宮「むしろ違う意味で、ややこしくなります」
佐奈「ややこしく?」
篠宮「ええ」
佐奈「……なんだか聞かない方が良いような気がしますけど、聞きますね?」
篠宮「どうぞ」
佐奈「具体的に、どんな風にややこしくなるんでしょう?」
篠宮「興味を持たれたあげくに、気に入られてしまう可能性があります」
佐奈「……どうして、気に入られるんでしょう?」
篠宮「あまりこういう言い方は、しない方が良いとは思うのですが」
佐奈「はい」
篠宮「セリアのご両親は、セリアとカウル様のご両親です」
佐奈「………………そうですね」


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蓮香「セリアとカウルの両親。要するに変な人ということだね」
良「なるほど」
セリア「家の両親は、変でもないし、そこで納得するんじゃありません!」

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